
富山の冬の到来を告げる「ズワイガニ富山解禁」。しかし、富山県民であっても「本ズワイガニ」と「紅ズワイガニ」の正確な違いや、それぞれの解禁日について詳しく説明できる人は意外と少ないかもしれません。2025年もシーズンが到来しましたが、この2つは生息域、味、価格、そして「旬」が全く異なります。
まず、一般的に「カニの解禁」として全国ニュースになる11月6日に解禁されるのが「本ズワイガニ」です。富山湾でも水揚げされますが、実はその漁期は厳格に管理されており、オスは3月20日まで、メス(香箱ガニ)に至っては1月20日頃までと非常に短いのが特徴です。殻が硬く、身がぎっしりと詰まっており、濃厚な甘みと上品な旨味が特徴で、贈答用や特別な日の食卓に並ぶ高級品です。
一方、富山県民にとってより馴染み深いのが「紅ズワイガニ」です。こちらは9月1日に解禁され、翌年の5月末までと非常に長い期間楽しむことができます。名前の通り、茹でる前から全身が鮮やかな紅色をしており、本ズワイガニよりもさらに深い、水深800m〜2500mの深海に生息しています。身は水分が多くてジューシーで、甘みが非常に強いのが特徴です。「高志(こし)の紅ガニ」というブランド名でも知られ、近年その評価は急上昇しています。
この2つの決定的な違いは「鮮度落ちの速さ」にあります。紅ズワイガニは水分が多いため、水揚げ直後から急激に鮮度が落ちていきます。そのため、昔は「安かろう悪かろう」と言われることもありましたが、現在は冷蔵技術や流通の発達により、その評価は一変しました。特に富山湾は漁場が漁港から極めて近いため、紅ズワイガニの品質においては他県を圧倒するポテンシャルを秘めています。
港町で育った地元民に聞く 紅ズワイガニの上手な食べ方|富山観光ナビ
参考リンク:富山の地元民が実践する紅ズワイガニの美味しい食べ方や、新湊かに小屋での体験について詳しく解説されています。
このように、富山では「秋から春まで長く楽しめる紅ズワイガニ」と「冬の短期間だけ味わえる本ズワイガニ」という2つの主役が存在します。スーパーで「ズワイガニ」と書かれていても、この時期はどちらなのかをラベルや色でしっかり確認することが、賢い買い物の第一歩です。特に11月以降は両方が店頭に並ぶため、用途に合わせて使い分けるのが富山県民の知恵と言えるでしょう。
富山でズワイガニを安く、かつ新鮮な状態で手に入れたいなら、「昼セリ」というキーワードを避けては通れません。通常、魚市場のセリと言えば早朝に行われるのが一般的ですが、射水市の新湊漁港では、全国的にも珍しい「昼セリ(七時のセリ)」が行われます。これは、富山湾が「天然の生簀」と呼ばれるほど漁場が近く、朝獲れたカニをその日の昼にセリにかけることができるためです。
この「昼セリ」の恩恵を最大限に受けることが、安くて美味しいカニを手に入れる最大のコツです。昼12時半から始まるセリで落札されたカニは、その日の午後2時〜3時頃には県内のスーパーや鮮魚店、直売所に並び始めます。つまり、富山の主婦やカニ好きにとって、カニを買うべきゴールデンタイムは「夕方」なのです。水揚げから数時間しか経っていない、驚異的な鮮度の「きっときと」のカニが、スーパーの店頭に山積みになる光景は、他県ではまず見られません。
特に地元民の間で「安くて良いカニが手に入る」と評判なのが、新湊エリア周辺や滑川市にある地域密着型のスーパーです。例えば、検索でも名前が挙がることが多い「スーパーしまかわ」などは、B級品や訳あり品(足が1本折れているなど)を破格の値段で販売することで知られています。味は正規品と変わらないため、自宅用であればこうした「訳あり」を狙うのが鉄則です。
また、直売所を利用する場合もポイントがあります。
【富山県】カニが買えるおすすめ直売所17選!安く買えるのはどこ?
参考リンク:射水市や魚津市など、富山県内でカニを安く購入できる具体的な直売所やスーパーの情報がまとめられています。
さらに、安く買うための「時期」の選び方も重要です。解禁直後のご祝儀相場の時期や、需要がピークに達する年末年始(12月下旬)は価格が高騰します。狙い目は、解禁から少し落ち着いた11月中旬〜下旬、または年明けの1月中旬以降です。この時期は相場が安定し、質の良いカニが比較的安価に出回ります。特に紅ズワイガニは漁期が長いため、天候が安定して漁に出られる日が続いた後の週末などは、豊漁で価格が下がることが多いため狙い目です。
せっかく新鮮なズワイガニを手に入れても、茹で方を間違えればその価値は半減してしまいます。特に富山県民は「茹でたて」の美味しさにこだわりが強いため、家庭で茹でる機会も多いでしょう。ここでは、プロも実践する「失敗しない家庭での茹で方」の極意を紹介します。最も重要なのは、「塩分濃度」と「カニの向き」です。
まず、準備するのはカニがすっぽり入る大きさの鍋です。水1リットルに対して塩約30g〜40g(大さじ2杯強)を入れ、海水に近い3%〜4%の塩分濃度にします。これがカニの甘みを最大限に引き出す黄金比です。塩が少なすぎると水っぽくなり、多すぎると塩辛くて身の甘みが感じられなくなってしまいます。
手順:
生カニのゆで方を解説!冷凍生カニ・カニ足・小さい蟹など種類別に紹介
参考リンク:塩分濃度や茹で時間の目安など、家庭でカニを茹でる際の具体的な手順と失敗しないコツが詳しく書かれています。
茹でたカニは、熱いうちに食べるのが一番の贅沢ですが、保存する場合は冷蔵庫で2〜3日持ちます。その際も乾燥を防ぐために新聞紙やラップで密閉し、やはり「甲羅を下」にして保存してください。また、カニを茹でた後の煮汁にはカニのエキスがたっぷり溶け出しています。これを捨てずに、味噌汁や雑炊の出汁として使うのが、富山の家庭における「始末の料理」であり、カニを骨の髄まで味わい尽くす賢い方法です。
スーパーや直売所でズワイガニを選ぶ際、甲羅に付着している「黒い粒々」を見て、「気持ち悪い」「病気ではないか?」と避けてしまっている人はいませんか?実はこれ、「カニビルの卵」と呼ばれるもので、知る人ぞ知る「身入りの良さ」を見極めるための重要な指標なのです。検索上位の情報にはさらっとしか書かれていないことが多いですが、ここを深く理解すると、プロ並みの目利きが可能になります。
この黒い粒の正体は、カニの甲羅を産卵場所として利用するヒルの卵です。重要なのは、このカニビル自体はカニの体内に寄生して栄養を吸っているわけではなく、単に甲羅を「足場」にしているだけだという点です。つまり、カニの味や品質に悪影響を与えることは全くありません。
では、なぜこれが「美味しさの証」になるのでしょうか。その理由はカニの「脱皮」のサイクルにあります。
カニは脱皮を繰り返して成長しますが、脱皮した直後のカニ(若ガニ)は、殻が柔らかく、身の中に海水が多く含まれており、カニ味噌も詰まっていません(これを「水ガニ」と呼ぶこともあります)。脱皮したての新しい甲羅には、まだカニビルが卵を産み付ける時間がありません。つまり、「甲羅が綺麗すぎるカニ」は、脱皮直後の身入りが悪いカニである可能性が高いのです。
逆に、甲羅に黒い粒がたくさん付いているということは、最後の脱皮から長い時間が経過していることを意味します。その間、カニはたっぷりと餌を食べ、殻は硬くなり、身も味噌もパンパンに詰まった状態(硬ガニ)に仕上がっています。
ただし、ここで一つ注意点があります。この「カニビルの法則」が顕著に当てはまるのは、主に岩場や砂泥地に生息する「本ズワイガニ」の方です。泥の深い深海に生息する「紅ズワイガニ」には、カニビルがあまり付着しない傾向があります。そのため、富山名産の紅ズワイガニを選ぶ際は、黒い粒の有無よりも、「甲羅の赤色が濃く鮮やかであること」や「持った時のずっしりとした重み」を重視するのが正解です。
もし、売り場で本ズワイガニを見かけた際に、黒い粒がびっしり付いている個体があれば、それは見た目こそ悪いものの、中身は最高ランクの「極上ガニ」である可能性が極めて高いのです。観光客が敬遠するそのカニこそ、地元の通がこっそりカゴに入れるべき一品と言えるでしょう。
富山のブランド「高志の紅ガニ」をはじめとする紅ズワイガニは、何よりも「鮮度が命」です。水分が多くて傷みやすいため、地元民は「買ったらすぐ茹でる、茹でたらすぐ食べる」を徹底しています。そして、その食べ方にも地元ならではの流儀があります。
まず、食べる時の姿勢です。茹で方と同様に、食べるときも「甲羅を下(お腹を上)」にして捌くのが地元流です。紅ズワイガニ最大の特徴である、たっぷりの水分(カニ汁)と濃厚な味噌をこぼさないためです。脚を外す際も、甲羅の上で作業を行い、溢れ出るエキスを一滴たりとも無駄にしません。
そして、地元民が「一番美味しい」と口を揃える部位、それは意外にも「爪」です。脚の身ももちろん美味しいのですが、よく動かす爪の筋肉は繊維がしっかりしており、独特のプリッとした食感と凝縮された甘みがあります。
地元民直伝!爪の身の綺麗な出し方:
カニの爪は殻が硬くて食べるのに苦労しますが、ハサミ一つで簡単に、しかも美しく食べる裏技があります。
この方法なら、身を崩すことなく、まるでカニ缶の身のように丸ごと味わうことができます。
また、外した脚の身は、そのまま食べるのはもちろんですが、甲羅に残ったカニ味噌と絡めて食べるのが「富山スタイル」です。紅ズワイガニの味噌は、本ズワイガニに比べて滑らかでクリーミーなのが特徴。この味噌をソースのようにして、甘い身と一緒に口に運ぶと、磯の香りと濃厚な旨味が口いっぱいに広がります。
最後に、残った甲羅にお酒を注いで「甲羅酒」にするのも外せません。コンロや網の上で甲羅を軽く炙り、日本酒を注いで温めると、残った味噌が溶け出して極上の熱燗が出来上がります。富山の地酒「立山」や「満寿泉」との相性は抜群です。
富山のズワイガニは、単なる食材ではなく、季節の移ろいを感じさせる文化そのものです。昼セリの活気、スーパーでの目利き、家庭での茹で上げ、そして家族で囲む食卓。解禁のニュースを聞いたら、ぜひ週末は近くのスーパーや直売所に足を運び、この時期だけの贅沢な味わいを堪能してください。
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