富山県に住んでいても、「ノドグロの旬はいつ?」と聞かれて即答できる人は意外と少ないのではないでしょうか。一般的に魚の旬といえば冬をイメージする方が多いですが、実はノドグロ(正式名称:アカムツ)に関しては、「夏」と「冬」で意見が分かれる非常に興味深い魚です。富山湾の独自の地形と生態系が、この「二つの旬」という贅沢な現象を生み出しています。
まず「夏のノドグロ」についてですが、これは産卵期に関連しています。ノドグロは7月から10月にかけて産卵期を迎えるため、その直前の夏場(特に6月〜8月頃)には、栄養を蓄えようとして食欲が旺盛になります。この時期に富山湾で水揚げされるノドグロは、体内にたっぷりと脂を蓄えており、「白身のトロ」という異名にふさわしい濃厚な脂乗りを楽しむことができます。口に入れた瞬間に溶け出すような食感を求めるなら、間違いなく夏がおすすめです。
一方で「冬のノドグロ」を推す声も根強くあります。冬の富山湾は水温が下がり、魚たちは寒さに耐えるために身を引き締めます。冬のノドグロは、夏の濃厚な脂とは一味違い、脂乗りと身の締まりのバランスが絶妙になります。また、冬は「寒ブリ」など他の魚も美味しい時期であるため、富山の海鮮全体が盛り上がるシーズンでもあります。地元の漁師さんや料理人の間でも、「脂の夏」か「味の冬」かで好みが分かれるほどです。
さらに、この「ノドグロ」という呼び名についても触れておきましょう。もともと標準和名は「アカムツ」ですが、口の奥(喉)が黒いことから「ノドグロ」と呼ばれるようになりました。なぜ喉が黒いのかというと、彼らが深海に生息していることに関係しています。主食とするプランクトンや小エビの中には発光するものがあり、それを食べた際にお腹の中で光が漏れて外敵に見つからないよう、内臓を守る膜が黒く進化したという説が有力です。富山のスーパーや魚屋の店頭では、「アカムツ」と表記されていることもあれば「ノドグロ」と書かれていることもあります。県外からの観光客向けには「ノドグロ」の方が通りが良いですが、昔からの富山県民にとっては「アカムツ」の方が馴染み深いという方も多いでしょう。
このように、富山のノドグロには季節ごとの明確なキャラクターの違いがあります。「旬はいつ?」という問いに対しては、「脂を飲むような濃厚さを楽しみたいなら夏、魚本来の旨味と食感のバランスを愛するなら冬」と答えるのが、富山通の正解と言えるでしょう。季節に合わせて調理法を変えるのも楽しみの一つです。
鮨蒲本舗 河内屋の社長ブログ:釣りの視点から見たノドグロの楽しみ方や道具についての考察
「ノドグロ=高級料亭で食べるもの」というイメージを持っていませんか?確かにディナータイムに専門店に行けば、一尾数千円から一万円を超えることも珍しくありません。しかし、私たち富山県民には、もっと手軽に、かつ高品質なノドグロランチを楽しむ特権があります。特に注目すべきは、富山県内のレベルの高い「回転寿司」と、市場直結の「食堂」です。
まず、富山の回転寿司は全国的に見ても異常なほどクオリティが高いことで知られています。「回転寿司」というカテゴリに収まらない鮮度と技術を持った店が多く、特に「ノドグロの炙り」や「ノドグロの刺身」を数百円から千円程度で一皿から注文できるのは大きな魅力です。例えば、富山駅周辺や市内のロードサイドにある「すし玉」や「番やのすし」、「祭ばやし」といった地元チェーン店では、朝どれのノドグロが黒板メニューに並ぶことがよくあります。これらの店では、一尾まるごとの煮付け定食などはなくても、握りとして最も美味しい部分をピンポイントで味わうことができます。ランチタイムには、ノドグロを含む「富山湾セット」のようなお得なメニューが提供されることも多く、2,000円〜3,000円の予算があれば、ノドグロ入りの豪華なランチを堪能できます。
次に穴場としておすすめしたいのが、漁港や市場に近い食堂です。例えば、富山駅構内にある「とやマルシェ」内の「魚どん亭」などは、観光客向けと思われがちですが、実は地元民がサクッと美味しい魚を食べるのにも重宝します。ここではノドグロの刺身だけでなく、運が良ければ煮付けや塩焼きが定食として提供されることもあります。また、少し足を延ばして新湊や氷見方面へ行けば、「新湊きっときと市場」や「氷見魚市場食堂」など、競り落とされたばかりの魚を提供する食堂があります。こうした場所では、街中の高級店よりも圧倒的にリーズナブルな価格(時価にはなりますが)で、定食スタイルのノドグロランチに出会える可能性があります。
穴場探しのコツとして、「日替わり定食」や「本日のおすすめ」をSNSで発信している個人経営の居酒屋ランチをチェックすることも有効です。前日の夜に仕入れたノドグロが余った場合や、小ぶりなサイズが入荷した際に、ランチの焼き魚定食として1,500円前後で提供されることがあります。これは「ノドグロ ランチ 富山」で検索してもなかなか出てこない情報なので、地元の口コミやInstagramのリアルタイム検索を活用するのが賢い方法です。
KNB WEB:富山駅ナカで地元民が通うコスパ最強ランチと回転寿司の魅力
ノドグロを美味しく食べるための調理法として、富山で最も支持されているのが「炙り(あぶり)」と「塩焼き」です。刺身ももちろん美味しいのですが、ノドグロ特有の「皮目の旨味」と「強烈な脂」を最大限に引き出すには、火を入れる工程が欠かせません。
まず「炙り刺身」についてです。ノドグロの皮はやや厚みがあり、生のままだと口に残ることがあります。しかし、この皮と身の間にある脂こそが旨味の塊です。バーナーで皮目をサッと炙ることで、皮は香ばしく柔らかくなり、熱で溶け出した脂が身に回って甘みが爆発的に増します。富山の寿司屋で「ノドグロ」を注文すると、職人さんが「炙りますか?」と聞いてくれることが多いのはこのためです。自宅で柵(サク)を買ってきた場合も、フライパンにクッキングシートを敷いて皮面だけを焼き付けるか、簡易バーナーを使って炙ることを強くおすすめします。薬味には、わさび醤油はもちろんですが、脂の強さをさっぱりさせる「紅葉おろし」と「ポン酢」、あるいはシンプルに「岩塩とすだち」で食べるのが通の楽しみ方です。
次に王道の「塩焼き」です。「白身のトロ」と呼ばれるノドグロは、焼くことでその真価を発揮します。焼くと身から溢れ出る脂がまるでソースのようになり、パサつくことが一切ありません。美味しい塩焼きのコツは、焼く前の「振り塩」と「水分抜き」です。焼く30分ほど前に全体に塩を振り、出てきた水分をキッチンペーパーで丁寧に拭き取ることで、臭みが消え、旨味が凝縮されます。また、飾り包丁(切り込み)を入れることで、火の通りが均一になり、見た目も美しく仕上がります。富山では、お祝い事や特別な来客があった際に、大きめのノドグロを一尾丸ごと塩焼きにして出すのが最高のおもてなしとされています。
さらに、上級者向けの食べ方として「しゃぶしゃぶ」も忘れてはいけません。薄造りにしたノドグロを、昆布だしの鍋に数秒くぐらせるだけ。表面が白くなり、半生の状態で引き上げてポン酢でいただきます。余分な脂が落ちて程よく淡白になりつつも、旨味はしっかり残るため、いくらでも食べられてしまう危険な美味しさです。鍋の最後には、ノドグロから出た黄金色の出汁で作る雑炊が待っています。これは家庭でも、鮮度の良い刺身用の柵が手に入れば簡単に再現できる贅沢です。
YouTube:アカムツ(ノドグロ)のさばき方と炙り・しゃぶしゃぶの実演動画
「ノドグロを買いたいけれど、相場がわからない」という悩みはよくあります。富山県内での実勢価格を知っておくと、買い物で損をしません。ノドグロの価格はサイズによって劇的に変わります。
まず、スーパーなどで見かける小ぶりなサイズ(100g〜150g程度、手のひらサイズ)であれば、一尾500円〜900円程度で売られていることがあります。これは主に煮付け用や味噌汁用として消費されます。一方、刺身や塩焼きで見栄えのする中サイズ(200g〜300g)になると、一気に価格が上がり、一尾1,500円〜3,000円程度になります。そして、贈答用に使われるような特大サイズ(400g以上)になると、一尾5,000円を超えることも珍しくありません。富山湾産のブランドタグが付いているものはさらに高値がつきます。
生魚は価格変動が激しく、保存も難しいため、賢い選択肢として「干物」があります。富山のノドグロ干物は、単なる保存食ではなく、旨味を凝縮させた加工品として非常にレベルが高いです。干物にすることで水分が抜け、タンパク質が分解されて旨味成分(イノシン酸など)が増加します。通販やお土産選びの際は、以下のポイントをチェックしてください。
通販を利用する場合、冷凍技術の進化により、生に近い状態の「一夜干し」が人気です。真空パックされた冷凍の干物は、冷凍庫にストックしておけば、急な来客や「今日はちょっと良いものが食べたい」という時にすぐ焼けるので非常に便利です。富山県内の有名水産加工会社(例えば浜浦水産など)の通販サイトでは、ギフトセットだけでなく、家庭用の簡易包装版(訳あり品など)をお得に販売していることもあるので、定期的にチェックすると良いでしょう。
浜浦水産:富山湾産のどぐろ開き(一夜干し)の製造工程とこだわり
最後に、富山県民のリアルな買い物事情に切り込みます。ノドグロを買うなら「観光客向けの市場」に行くべきか、それとも「地元のスーパー」で十分なのか。結論から言うと、日常使いなら「地元のスーパー」が圧倒的に優秀です。
特に富山県内で展開する「大阪屋ショップ」や「アルビス(albis)」といった大手スーパーの鮮魚コーナーは、県外の人が見たら驚くほどのレベルです。これらのスーパーは地元の漁港の買参権を持っていることが多く、朝どれの魚がその日の午後には店頭に並びます。特に週末の午前中や、チラシの特売日には、市場に並んでいるものと遜色ない鮮度のノドグロが、市場価格よりも安く並ぶことがあります。「地物(じもの)」のシールが貼られたパックを探しましょう。
アルビスであれば、「きときと市場」のようなコーナーを設けている大型店舗(例:大島店や高原町店など)が狙い目です。ここでは対面販売を行っていることが多く、調理担当者に「塩焼き用に下処理してほしい」「刺身で食べられる?」と直接相談できます。ノドグロはウロコが硬く、内臓処理も手間がかかるため、スーパーの無料調理サービスを活用するのは非常に賢い方法です。
一方、大阪屋ショップも地域密着の強みがあり、店舗によっては驚くような掘り出し物が見つかります。特に富山市北部や射水市などの海沿いの店舗では、流通のタイムラグが少なく、目が澄んでいて体の赤色が鮮やかな極上のノドグロに出会える確率が高まります。鮮度の見分け方として、目が白く濁っておらず黒く澄んでいること、体の赤色が鮮やかであること、そしてお腹に張りがあることを確認してください。
もちろん、「新湊きっときと市場」や「氷見漁港場外市場 ひみ番屋街」のような観光市場には、スーパーでは見かけないような特大サイズや、贈答用の美しい箱入りが揃っています。県外の親戚に送る場合や、絶対に失敗できない特別な日の食材調達には市場が向いています。しかし、自分へのご褒美や家族の夕食であれば、まずは近所のスーパーの鮮魚コーナーをじっくり観察してみてください。「今日はノドグロが安い!」という日が必ずあります。そのチャンスを逃さずカゴに入れるのが、富山県民ならではの賢いノドグロの楽しみ方と言えるでしょう。
ホームメイト・リサーチ:北陸地方のアルビス店舗一覧と口コミ情報

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