
「笠舞(かさまい)」という言葉を聞いて、富山県にお住まいの方なら一度は耳にしたことがあるかもしれません。しかし、地図で「笠舞」を探してみると、実は富山県内ではなく、お隣の石川県金沢市にある地名であることに気づきます。兼六園や21世紀美術館からも近い、犀川沿いの歴史あるエリアです。
なぜ富山県民にとってこの「笠舞」という地名が馴染み深いのでしょうか。その大きな理由の一つが、富山県を代表するスーパーマーケット「アルビス」の存在です。アルビスは射水市に本社を置く、まさに富山の食卓を支える企業ですが、金沢市内にも多くの店舗を展開しています。その中でも「アルビス笠舞店」は、地域の中核を担う重要な店舗として知られています。
2024年9月にはリニューアルオープンを果たし、富山県民にとってもさらに魅力的なスポットへと進化しました。店内には、富山湾で獲れた新鮮な魚介類や、富山県民おなじみの加工食品も多く並んでおり、金沢にいながらにして「富山の味」を感じることができる場所となっています。
富山から金沢へ遊びに行った際、地元のスーパーに立ち寄ってみると、意外な発見があります。特にアルビス笠舞店は、富山の食文化と金沢の消費文化が融合したユニークな売り場となっており、単なる買い物以上の面白さがあります。「金沢の人は富山の魚をどう食べているのか?」そんな視点で売り場を眺めてみるのも、スーパーマーケットマニアにはたまらない楽しみ方と言えるでしょう。
参考リンク:金沢笠舞店 リニューアルオープンの詳細情報(ヤングドライ公式サイト)
「笠舞」という言葉は、地名としてだけでなく、実は「苗字(名字)」としても存在します。そして興味深いことに、この「笠舞姓」は富山県とも深い関わりがあるのです。
全国的に見ても「笠舞」という苗字は非常に珍しく、その数はわずか数十人から百人程度と言われています。名字由来netなどの調査によると、そのルーツは確かに現在の金沢市笠舞にあるとされていますが、現在の分布を見てみると、石川県だけでなく、富山県内にも「笠舞さん」がいらっしゃることがわかります。
特に富山県西部の小矢部市など、石川県との県境に近いエリアで確認されています。これは、かつて加賀藩(石川)と富山藩(富山)の間で人々の往来があったことや、地名に由来する一族が移り住んだ歴史を示唆しています。
もしあなたが富山県内で「笠舞」さんに出会ったら、その方は金沢の笠舞にルーツを持つ一族の末裔かもしれません。このように、地名と人名は密接にリンクしており、県境を越えた歴史ロマンを感じさせてくれます。単なる隣県の地名として片付けるのではなく、自分たちの住む富山とも「人」を通じて繋がっている場所なのだと考えると、笠舞という街への親近感が湧いてくるのではないでしょうか。
富山県民が「笠舞」という言葉を聞いて、無意識に連想してしまうのが、富山市八尾町で毎年9月に行われる「おわら風の盆」ではないでしょうか。この祭りでは、編み笠を目深に被った踊り手たちが、優雅に町を流します。まさに「笠」が「舞う」姿そのものです。
そのため、インターネット検索などでも「笠舞 富山」と検索する人の中には、このおわら風の盆の情景をイメージしているケースが少なくありません。しかし、実際には「笠舞」という地名やお祭りの名称は八尾には存在しません。これは「笠」と「舞」という、風の盆を象徴する2つの漢字が組み合わさったことによる、美しい誤解と言えるでしょう。
しかし、全く無関係かというと、そうとも言い切れない面白い共通点があります。
このように、直接的な関係はないものの、「風」「笠」「舞」というキーワードで結びついた二つの事象は、北陸の厳しい自然と、それを文化へと昇華させた人々の知恵という点で共通しています。「富山の風の盆」と「金沢の笠舞」。この二つを「風と笠の物語」としてセットで訪れてみるのも、非常に情緒深い旅のテーマになるはずです。
参考リンク:おわら風の盆の公式ガイド(富山県観光公式サイト)
では、なぜ金沢のその場所は「笠舞」と名付けられたのでしょうか。その由来を知るために訪れたいのが、笠舞エリアに鎮座する「猿丸神社」です。ここは、百人一首にも歌が収められている伝説的な歌人、猿丸太夫(さるまるだゆう)を祀っています。
伝承によると、その昔、猿丸太夫がこの地を通った際、突然の突風にあって被っていた笠が空高く舞い上がってしまったそうです。その様子を見た人々が、この地を「笠舞」と呼ぶようになったと伝えられています。このエピソードは、先ほど触れた「風」との関連性を強く裏付けるものです。
しかし、この猿丸神社には、一般的な観光ガイドにはあまり載っていない、少しミステリアスな一面もあります。
富山県にも多くの神社仏閣がありますが、地名の由来がこれほど明確なストーリーとして残り、かつその主人公が祀られている神社があるケースは珍しいでしょう。アルビスでの買い物のついでに、この猿丸神社へ足を運び、古の歌人が笠を飛ばされた風を感じてみてはいかがでしょうか。歴史の教科書には載っていない、北陸のローカルな歴史ミステリーに触れることができます。
最後に、富山にお住まいの方向けに、笠舞エリアへの具体的なアクセス方法と、絶対に立ち寄りたいグルメ情報をご紹介します。笠舞は金沢駅からは少し離れていますが、車社会の富山県民にとっては非常にアクセスしやすい場所にあります。
アクセス情報:
おすすめグルメ:笠舞おでん つぼみ
笠舞に行ったら絶対に外せないのが、「笠舞おでん つぼみ」です。金沢おでんの名店として県外からも多くのファンが訪れますが、ここは特に「出汁の美しさ」で知られています。
透き通った塩ベースの出汁は、富山のおでんとはまた違った繊細な味わい。具材には、金沢ならではの「車麩」や「赤巻」、冬には香箱ガニを丸ごと使った「カニ面」が登場します。
特に富山県民におすすめしたいのが、加賀野菜を使ったおでん種です。「源助大根」や「金時草」など、富山のスーパーではあまり見かけない野菜が出汁を吸って、極上の味わいになります。
人気店のため予約は必須ですが、富山からわざわざ足を運ぶ価値は十分にあります。アルビスで富山との違いを楽しみ、猿丸神社で歴史に触れ、最後は絶品おでんで締める。そんな「笠舞尽くし」のワンデートリップは、富山での日常とは少し違った刺激と癒やしを与えてくれるはずです。今度の週末は、ぜひお隣の金沢・笠舞へドライブに出かけてみてはいかがでしょうか。
参考リンク:笠舞おでん つぼみの店舗情報とメニュー(ホットペッパーグルメ)