富山県民であれば誰もが一度は訪れたことがあるであろう「海王丸パーク」。しかし、最後に訪れたのはいつですか?もし数年前の記憶で止まっているなら、それは非常にもったいないことです。現在の海王丸パークは、単なる「船が置いてある公園」ではありません。絶品の海鮮ランチが楽しめるグルメスポットであり、子どもたちが時間を忘れて遊べる巨大遊具があり、夜には幻想的なデートスポットへと変貌する、富山県内屈指のエンターテインメントエリアに進化しているのです。
この記事では、地元・富山に住んでいるあなたにこそ知ってほしい、海王丸パークの「現在」を徹底的に深掘りします。ガイドブックには載っていないような地元ならではの視点や、意外と知られていないマニアックな情報も盛り込みました。次の休日は、家族や恋人、あるいは友人を誘って、新湊の風を感じに行きたくなるはずです。
海王丸パークを訪れる際、絶対に外せないのが「食」の体験です。観光地価格のレストランばかりだと思っていませんか?実は、地元漁師も通うほどコストパフォーマンスが良く、鮮度抜群のランチスポットがすぐそばにあります。
まずご紹介したいのが、新湊きっときと市場の向かいにある「きときと食堂」です。
ここは朝5時30分から営業しており、地元の漁港関係者も利用する「本気」の食堂です。一番の狙い目は、何と言っても「まかないづけ丼」でしょう。価格は驚異の700円台(変動あり)。その日に水揚げされた新鮮な魚のブツ切りが、これでもかというほど盛られています。「観光客向けの海鮮丼は高すぎる」と感じている地元の方にこそ食べていただきたい一品です。少し贅沢をしたい日には、1,600円前後の「海鮮丼」や、富山湾の宝石をふんだんに使った「白えび丼」もおすすめです。
また、この食堂での通な頼み方は、「まかないづけ丼」に「かけ中(中華麺のうどん出汁割り)」を合わせるスタイル。新湊のソウルフードとも言えるこの組み合わせは、港町の荒々しさと優しさが同居した、忘れられない味となるでしょう。
きときと食堂公式サイト:メニュー詳細や営業時間の確認はこちら
次に、海王丸パーク内にある「貴婦人館」も見逃せません。
こちらは、少し落ち着いた雰囲気で食事を楽しみたい方におすすめです。特に注目すべきは、「白えびかき揚げうどん・そば」(800円)です。サクサクに揚げられた白えびの香ばしさが、出汁に溶け出して絶品です。また、意外な人気メニューとして「カレー中華」(750円)があります。スパイスの効いたカレーと和風出汁のハーモニーは、海風で冷えた体に染み渡ります。窓際の席からは海王丸と新湊大橋を一望でき、ロケーション料を含めてもこの価格は非常に良心的と言えるでしょう。
貴婦人館(射水市観光協会):店舗情報やアクセスの詳細はこちら
参考)貴婦人館|観光情報|射水市公式観光サイト[きららか射水観光N…
ランチの後は、「新湊きっときと市場」でお土産を探すのも良いですが、あえて地元のスーパーや鮮魚センターを覗いてみるのも面白いでしょう。観光地化された場所とは違う、富山のリアルな食文化がそこにはあります。
海王丸パークと言えば、やはり「海王丸」そのものが主役です。しかし、ただ停泊している船を見るだけでは、その真の魅力の1割も味わえていないかもしれません。海王丸が最も輝く瞬間、それが「総帆展帆(そうはんてんぱん)」です。
総帆展帆とは、海王丸に装備されている29枚すべての帆を広げるイベントです。これは年に10回程度、4月から10月の間に行われます。すべて帆を広げた海王丸は「海の貴婦人」の名にふさわしい、圧倒的な優美さを誇ります。しかし、ここで注目してほしいのは、その美しい姿だけではありません。
実は、この帆を広げる作業を行っているのは、「海王丸ボランティア」と呼ばれる一般の方々なのです。その数、毎回約100名から200名。富山県内はもちろん、県外からも熱心なファンが駆けつけます。彼らはこの日のために特別な訓練を受け、高いマストに登り、手作業で帆を操ります。
見学する際は、単に「綺麗だな」と眺めるだけでなく、マストの上で活動するボランティアの方々の動きに注目してみてください。号令に合わせて一斉に帆が広がる瞬間、そこには多くの人々の汗と情熱が詰まっていることに気づくはずです。これは単なるショーではなく、船と人とが一体となった「共同作業のアート」なのです。
海王丸ボランティア募集:活動内容や参加方法の詳細はこちら
参考)ボランティア募集|海王丸パーク
また、夏に開催される「海王丸パークフェスティバル」も外せません。
特に2025年の夏は、例年以上に盛り上がることが予想されます。過去には、自衛隊の艦艇公開や、海上保安庁の巡視船による放水展示など、普段は見られないレアな船とのコラボレーションが行われたこともあります。
さらに、6月頃に開催される「海王丸モーターパークフェス」は、車好きのお父さん必見です。スーパーカーやクラシックカーが海王丸パークに集結し、優雅な帆船と無骨なマシンのコントラストが楽しめる、異色のイベントとなっています。
海王丸モーターパークフェス公式サイト:イベントスケジュールや展示車両情報はこちら
参考)海王丸モーターパークフェス|射水市の海王丸パークで開催
イベントがない日でも、船内見学(有料)は可能です。順路を進むと、実習生が寝起きした狭いベッドや、重厚なエンジンルーム、そして船長室などを見ることができます。特に「機関室」のメカニカルな雰囲気は、スチームパンク好きにはたまらない空間となっています。
子連れの家族にとって、海王丸パークは「時間泥棒」なスポットです。その理由は、パーク内にある大型遊具広場にあります。特に子どもたちを虜にしているのが、「波のハンモック」と呼ばれる巨大ネット遊具です。
この遊具、ただのネットではありません。富山湾の波をイメージしたという起伏に富んだ形状をしており、登ったり、跳ねたり、滑り降りたりと、全身を使って遊ぶことができます。
意外と知られていない注意点として、この遊具はかなり高さがあります。頂上付近からの眺めは大人でも足がすくむほど。しかし、ネットが幾重にも張り巡らされているため、落下の心配は少なく、安全にスリルを楽しむことができます。対象年齢は主に小学生以上向けのように見えますが、低いエリアでは小さなお子さんでも遊べるようになっています。ただし、休日の昼間は非常に混雑するため、小さなお子さん連れの場合は、午前中の早い時間帯か、夕方の少し涼しくなった時間を狙うのが地元民の裏技です。
mamasky(ママスキー):子連れに役立つ設備情報や口コミはこちら
参考)射水 公園|海王丸パーク|子連れママのための子育て情報サイト…
また、遊具広場のすぐ近くには、広大な芝生広場が広がっています。ここでの過ごし方としておすすめなのが、「簡易テント(ポップアップテント)」の持参です。
海沿いということもあり、海王丸パークは風が強い日が多いですが、晴れた日には絶好のピクニックエリアになります。お弁当を持参して、テントの中で海風を感じながらのんびり過ごす。子どもたちは目の前の遊具で遊び放題。親は交代で昼寝。そんな贅沢な休日が、入場料無料で手に入るのです。
さらに、少しマニアックなスポットとして、パークの西側に位置する「富山新港臨海野鳥園(バードパーク)」があります。
ここは遊具広場の喧騒とは打って変わって、静寂に包まれたエリアです。池や林が整備されており、季節ごとの野鳥を観察することができます。双眼鏡を持って親子でバードウォッチングをするのも、知的好奇心を刺激する良い体験になるでしょう。
日が沈み、空が群青色に染まる頃、海王丸パークは全く別の顔を見せます。それが「ライトアップ」の時間です。
海王丸のライトアップは、日没から22時まで毎日行われています。船体に取り付けられた約400個のLEDイルミネーションが点灯し、白い船体が闇夜に浮かび上がる様は、まさに幻想的。さらに、数分おきに色が変化する演出もあり、飽きさせません。
しかし、ここでの本当の見どころは、「海王丸」と「新湊大橋」のコラボレーションです。
新湊大橋も同時刻にライトアップされ、優美な橋の曲線と、クラシカルな帆船のシルエットが重なり合う光景は、「日本夜景遺産」にも認定されています。この景色を独り占めできるベンチがパーク内の海岸沿いに点在しており、カップルたちが静かな時間を過ごしています。
海王丸パーク公式サイト:ライトアップ時間の詳細や季節ごとの演出はこちら
参考)ライトアップ|海王丸パーク
そして、カップルで訪れるなら外せないのが、海王丸の船上にある「幸せのベル(タイムベル)」です。
海王丸が「恋人の聖地」に選定される理由の一つとなったこのベル。実は、海王丸の進水式が1930年の2月14日(バレンタインデー)だったことに由来しています。船の甲板にあるこのベルを二人で鳴らすと、愛が深まると言われています。
ここだけの撮影テクニックをお教えしましょう。ベルを鳴らすシーンを撮影する際、カメラマンは少し低い位置からあおり気味に撮ってください。そうすることで、ベルと二人、そしてその背後にそびえる海王丸のマストや青空(夜ならライトアップされたマスト)を一枚の画に収めることができます。
冬の時期は海風が非常に冷たいので、防寒対策は必須です。しかし、空気が澄んでいる冬こそ、イルミネーションの輝きは増します。温かい飲み物をテイクアウトして、光の魔法に包まれる夜の散歩を楽しんでみてはいかがでしょうか。
最後に、地元民でも意外とやっていない、しかし最高におすすめの「周遊コース」をご紹介します。それは、「駐車場に車を停めて、歩いて新湊大橋を渡り、フェリーで帰ってくる」というコースです。
まず、駐車場について。海王丸パークには約600台収容の無料駐車場があります。イベント時以外は比較的余裕を持って停められますが、おすすめは「新湊大橋に近い側のエリア」です。
ここから歩いてすぐの場所に、新湊大橋の歩行者専用通路「あいの風プロムナード」への入り口(エレベーター)があります。
エレベーターで一気に上空約47メートルへ。扉が開くと、そこは海の上を歩く空中回廊です。
あいの風プロムナードは全長約480メートル。所要時間は片道徒歩で約10分から15分です。ここからの景色は圧巻の一言。眼下にはおもちゃのように小さく見える海王丸、遠くには雄大な立山連峰、そして広がる富山湾。車で橋を渡るときは一瞬で過ぎ去ってしまう景色を、自分のペースでゆっくりと堪能できます。ガラス張りのフェンス越しに見る景色は、高所恐怖症の方には少しスリリングかもしれませんが、その分感動もひとしおです。
あいの風プロムナード体験記:エレベーターの場所や眺望の写真はこちら
参考)【新湊大橋は歩ける!?】歩行者通路あいの風プロムナードに行っ…
橋を渡りきると、対岸の「堀岡」エリアに到着します。ここからどうやって戻るか?来た道を戻るのも良いですが、ここは「県営渡船(越ノ潟フェリー)」を利用しましょう。
なんとこのフェリー、運賃が無料です。新湊大橋ができる前、地域住民の重要な足だった名残で、現在も無料で運行されています。
堀岡発着場からフェリーに乗り込み、約5分間の船旅。海上から見上げる新湊大橋の巨大な橋脚は、上から見るのとはまた違った迫力があります。そして、海面に近い視点から近づいてくる海王丸の姿もまた格別です。
フェリーが到着するのは、海王丸パークのすぐ近く(越ノ潟発着場)。つまり、
という、空と海の両方を楽しめる完璧な一周コース(所要時間約40分~1時間)が完成するのです。これぞ、富山県民だからこそ楽しめる、最高の贅沢ではないでしょうか。
海王丸パークは、知れば知るほど奥が深い場所です。今度の休日は、ただ通り過ぎるだけでなく、じっくりとその魅力を味わい尽くしてください。